「コーヒー1杯」から格差をなくす!小さな個人経営カフェが戦える場所へ |株式会社Same Sky 二方 隼人

  • 2017/12/27

大手コーヒーチェーンが興隆するなか、個人経営のカフェは年々減少・・・。
独特の雰囲気で、こだわりを感じる個人経営のカフェですが、そんな個人経営のお店の強力な味方があるのをご存知ですか?
業界の危機にメスを入れるため、「CAFE PASS(カフェパス)」を立ち上げた株式会社Same Sky 代表取締役の二方隼人さんにお話を伺いました。

「すべて自分でやらなければならない」前職で学んだことが起業のバネに

co-ba shibuya(以下co-ba):本日はよろしくお願いします!

二方さん(以下二方):こちらこそよろしくお願いいたします。株式会社Same Sky代表の二方隼人と申します。2017年7月に会社を起ち上げ、同月17日にカフェ検索サイト「CAFE PASS」をローンチしました。「CAFE PASS」は、今はカフェの検索サイトなんですけど、これからカフェの店舗さんを巻き込んで、色々なサブスクリプション (月額制)のサービスを展開していく予定です。

co-ba:おもしろそうですね!会社を起ち上げようと思ったきっかけは?

二方:もともと、学生時代から将来的に起業したいなと思っていました。大学時代にはさまざまな活動をしていまして、自分で主体的に行うところに面白さを感じ、あとはスピード感もあったので魅力を感じていました。
他の人がやっていない事を、やれるなら自分でやればいいじゃないかっていうところで、将来自分で事業を起ち上げてみたいと思ったところに繋がっていったんですね。就職活動をしている時にも、将来起業したいというのは自分の中にあったので、面接を受ける時も、「将来的に起業したいです」という話をしました。色々な話をしながら、結果的にエキサイトというIT系の会社に入って、3年間働いて、起業しました。

co-ba:前職ではどういう活動をされていらっしゃったんですか?

二方 :エキサイトでは、多岐に渡った業務を経験させてもらいました。
営業もやりますし、サービス企画もやりました。また、事務的なところでいうと、PLの管理であったり、事業全体のプロジェクト管理だったりも全部やるんですけど、そういうように幅広くやってきたっていうところが、結構起業には活きていて。
起業すると最初って、自分でやらなければならない事が非常に多いので。例えば契約書作りのたたきを自分で作るとか。あとはサービスの設計、デザインとかを自分で考えて、エンジニアの人に渡して開発してもらうとか。7月にサービスを出す時も、自分達で出来なくて止まるっていう事はなかったです。前職でなんだかんだ教えてもらったなっていう事が多くて、サービスも無事に出すことができました。

co-ba:そういう意味では前職の経験が活きてきた、ということですね。

二方 :営業をすごくやってきたから起業してからも営業ができるとか、そういう訳ではなくて。やっぱり事業を起ち上げて成長させていくっていうところで、基本的なところはどんな事業でも似てるところがあるので、その基礎をしっかり教えてもらったっていうところが一番大きいかなと思います。

「お気に入りだったカフェがつぶれてしまった」CAFE PASSを立ち上げた想い

co-ba:CAFE PASS」のサービス内容について教えてください。

二方 :今は利用シーンとエリアで主に都内のカフェを検索することができます。例えば、女子会向けの渋谷にあるカフェに絞ると、主に個人経営のカフェさんがサイトに一括で出てくるという、単純な、個人経営に特化したカフェの検索サイトです。
CAFE PASS」の事業の成長を考えるときに、実はフェーズを分けていて、第1フェーズは検索サイトとしてまずは実績を作っていき、第2フェーズでサブスクリプション事業にシフトしていく予定です。
ここでは、個人経営のカフェをネットワーク化していこうと考えています。例えば、「渋谷エリアのカフェが月額数千円でドリンクが飲み放題になります」っていう様なサービスを今仕込んでいまして。

co-ba:飲み放題ですか!

二方 :そうなんです。なんでそういう事業をやるのか?やっぱり自分自身、カフェがすごく好きで。僕の出身は愛知県なんですが、愛知県に戻った時にずっと通っていたお気に入りのカフェがつぶれてかなりショックだった事がきっかけでした。今、カフェの店舗数はどんどん減っているので、そこを回復させるというのがこの事業にかけている思いです。
個人経営というカフェに特化して、そこに集客を一気にかけて固定収益を生み出していく。月額○千円入ってくるときに、そのいくらかを店舗さんに還元していくんですね。飲み放題の店舗に加盟することによって、店舗さんはお客さんをどんどん集客できるのに加えて、固定収益も確保できるところを狙いとしています。

co-ba:カフェってそんなに減っているのですか?

二方 :カフェの店舗数は、1981年くらいが一番ピークでして、日本国内で15万店舗ほどあったんですが、今は7万くらい、言ってみれば半分くらいに減っています。大手のチェーンや、コンビニコーヒーが増えてきたことで、個人経営の店は差別化を図らなければならない。そこで、昔ながらの喫茶店のような場所も、どんどん撤退していってしまっている。
ところが、コーヒー豆の消費量を見ると、実は4年連続で過去最高を更新していて。

co-ba:4年連続ですか!豆は増えているんですね。

二方 :コーヒーを飲む人は増えているんです。これはコンビニコーヒーが大きく寄与しています。
コンビニコーヒーを飲んで飲む習慣がついたとか、毎日飲むようになったとか、今度はインスタントコーヒーを買ってみて、家で飲もうとかして、どんどんコーヒー豆の消費量は増えています。ただ、残念なことに店舗数は減っている。

co-ba:反比例しているんですか。

二方 :法人の店舗数は増えています。ただ、個人経営で展開しているカフェは減っているので、全体的に見ると店舗数は減っているという状況になっていて、そこに課題を感じていて、なんとかしたいと思っています。

co-ba:CAFE PASS」はどういった点で他のサービスと違うのでしょうか。

二方 :まずは大手チェーンは掲載していないということですね。
あとは、なるべく直接足を運んで、個人経営の店舗さんの課題をヒヤリングしています。例えば店舗さんによっては、お店の情報を更新するのが難しいとか、固定収益がないので精神的に不安だとか、集客をどうしていこうとか。
そういったところを「CAFE PASS」のサービスに反映して、使ってよかったなと思えるサービスにしていきます。

co-ba:一店舗一店舗、足を運んでいるんですか!

二方 :無断掲載は一切ありませんよ!ちゃんと連絡も取っています(笑)。
今は掲載数が200店舗くらいなんですが、実際にその半分は直接会いにいって、店舗さんの写真を僕が撮ったりとか、文章を一緒に考えたりとかしていますね。

co-ba:写真も、「インスタ映え」しそうな、行ってみたいと思える写真ばかりですね!

二方 :写真はこだわっています。
お客さんが足を運びたくなるのって、写真だとか、口コミだとかが結構多いと思うんです。
味はすごく美味しい、でも写真がイマイチでが、行かないという結果になってしまうと、非常にもったいないと思うので、それはやっぱり無くしたいんです。

co-ba:雰囲気って大事ですよね。

二方 :だから、写真はこのレベル以上にはしましょう、っていう基準を決めています。場合によっては、送られてきた写真を、こちらで、Photoshopなどで加工して、行きたくなるような雰囲気を全面に出しています。

「人のつながりが暖かい」co-baに入居した決め手

co-ba:二方さんがco-ba shibuyaに入居する決め手はどこにあったのでしょうか。

二方 :まず、家でやるよりも高いモチベーションが保てる、ということですね。フルコミットメンバーは自分1人なので、同じような境遇で起業しているひとや事業をされている方と一緒の環境で取り組んだ方がいいと思って。
あとは、サイトを見ていたときに、人の顔がよく見えたので。このコワーキングに入ったらいろんなつながりが持てるだろうな、と。
それで最終的にここに入ることに決めました。

co-ba:実際に数ヶ月過ごしてみて、周りの人とのつながりはできましたか?

二方 :すごくできました!月1回程度交流会があるんですが、交流会で知り合ったひとで、たまたま自分の自宅から徒歩3分くらいのひとがいまして。

co-ba:えっ、すごく近いですね!

二方 :家から出て歩いていたらばったり出くわす、みたいなこともありまして(笑)あとはやっぱり、自分が知らなかった分野の人も多く、そこから新しい知見が入ってくるので、役立ちます。
あとは、飲みに行ったり、ご飯を食べに行ったり、楽しいことがあると、日々の仕事もモチベーションが高くなります。
そういう環境の中で一緒に頑張っている、それがいいなと思います。

co-ba:ビジネスの分野ではco-baはどのように役に立ちましたか?

二方 :会員は全国のco-baが使えるようになるco-ba NETWORKがあるのがよかったです。
うちでいえば、ライターさんが当時いなくて、募集をかけたところ手が上がりました。
実際にはまだ仕事の形にはなっていないのですが、将来的にはプロダクトローンチの段階でお話を詰めさせてください、といったように、仕事でも広がっていますね。

co-ba:思いがけないところで広がっていますね!

二方 :海外にも将来やろうとしているサブスクリプションに近いサービスがあるんです。現地にいる人に調査をお願いしようと思ったのですが、海外の知り合いがいなかったんです。
その際に、co-baのFacebookグループに、アメリカのニューヨーク在住の方にお仕事をお任せしたいと投稿したら「知人がニューヨークに居るので話してみるよ」とレスが返ってきて、実際にお仕事のやりとりをしていく、ということもあります。

co-ba:グローバルですね。

二方 :ですね(笑)人のつながりが暖かくて、声をあげたら拾ってくれる。仕事としても、助け合える環境だと思っています。

「次の日に会おう」sproutで芽が伸びた瞬間

co-ba:先日出演したsproutはいかがでしたか?

二方 :スライドが数秒でコロコロ変わるのでプレゼンが難しくて、結構練習しましたね。当日は個人的にはちゃんと話せたんじゃないかと。
実際に登壇してよかったのは、大きく2つあります。
一つは、自分の事業を振り返るきっかけになりました。お客さんに向けて、どういう風にすれば記憶に残るのかとか、どういう言葉を選べば事業が伝わるのかとか、考えるきっかけになりました。フィードバックももらえるので、どういうところがいいと思っていて、どういうところがまだまだなのか、そういうところも考えるきっかけになりました。
二つ目は、たまたま後ろの席に座っていた人がベンチャーキャピタルの方でして、「次の日に会おう」って言われて。

co-ba:翌日ですか。結構スピード感がありますね!

二方 :実際にお会いしまして、出資がどうこうというよりは、事業計画を一緒に見直したりとかして、サポートしていただいたり、サービスのファンになってもらいました。
出資だけでなく、事業をよりよくするためにどうすればいいか、ということを一緒に取り組んでくださって。しかもその方のフェイスブックを見たら古くから縁のある共通の知り合いが何人もいることが分かり、いろいろとご縁が重なっているなあと。
実際に登壇したときに、いろいろサポートをしてくださる方が現れたので、登壇してよかったなと思っています。

co-ba:sproutの参加から、かなり広がってきましたね。

二方 :そうなんです。その後も定期的にホームページを見て、「もっとこうしたほうがいいよ」と言ってくれる人が出てきたりしました。

「格差をなくしていく」個人が戦える土壌づくり

co-ba:今後の展望をお聞かせください!

二方 :まずは検索サイトから、月額課金のサブスクリプションに移行していく、というところで、ちゃんとローンチしていきたいと考えています。
また、規模感がこの2ヶ月で大きくなるにつれて、店舗数も増えて、店舗さんに関わってくる会員さんも増えていっています。カフェの店舗数は毎年1,500~1,800店舗減っているので、そこに歯止めをかけるのが、サービスとしての目標です。
会社の理念としても掲げているのですが、「格差をなくしていく」というのをやりたい。このサービスで言えば、大手チェーンのカフェと個人経営のお店の格差をなくしていく。最終的には、カフェで展開していくサブスクリプションサービスを横展開して、個人経営の店舗が多い小売の業態に適用して、影響力のある法人と個人が戦える土壌を作っていく、ということを考えています。

co-ba:最終的には「格差をなくしていく」というのがミッションなのですね。本日はありがとうございました!

 

格差をなくすために個人店舗の連合を作り、まったく新しいカフェの形を模索する「CAFE PASS」。
個人経営のカフェが戦える土壌をつくる、二方さんの今後の活躍に注目です!

文章:酒井涼
写真:杉本友太


[Profile] 二方 隼人

株式会社Same Sky

株式会社Same Sky
二方 隼人(にのかた はやと)
代表取締役。
1991年生まれ愛知県出身。2014年にエキサイト株式会社に新卒で入社し、Facebookアプリを活用した新規事業の推進やブロードバンド事業のサービス企画・アライアンスに3年間従事。2017年7月に同社を退職し株式会社Same Skyを創業。同月にカフェの検索サイト「CAFE PASS」をローンチし検証を進めると共に、現在は検索サイトの次フェーズに移行準備中。「カフェの店舗数をV字回復させる」をサービスのミッションとし、来年から店舗を巻き込んだ革新的な取り組みを展開していきます。
HP:http://samesky.me/
CAFE PASS: https://cafepass.me